【コラム】小美玉市四季文化館・みの~れ

Mino 「住民参画」による文化施設が、全国各地で成果をあげています。

茨城県小美玉市(合併前は美野里町)にある「小美玉市四季文化館・みの~れ」は、プランニングの段階から、住民参画を徹底し、開館2年前から検討会・シンポジウムを重ねて、住民にとって本当に必要な文化施設のあり方を住民自身で検討し、開館後も住民のための文化施設としての姿勢をクリエイティブに貫いている優れた事例です。

開館に至るプロセスは、書籍として出版されています。
子どもから、建設に反対する大人まで実に幅広い住民の意見が掲載され、膨大な数のワークショップを重ねてきた経緯がきめ細かくつづられています。
ぜひお読みください。

「文化がみの~れ物語」
茨城新聞社 発行 美野里町文化センター物語制作委員会 編 定価1400円(税込1470円)

サイトを見ると、2002年のオープニングから続く、住民発のアートプログラムの数々が現在進行形で行われていることが分かります。

小美玉市四季文化館・みの~れ

小美玉市四季文化館・みの~れの取り組みの特徴は、

・住民参画のためのワークショップを徹底して行ったこと。
・ワークショップを重ねることにより、参加者=住民に文化施設のイメージがつくられ、ディティールに至るまで、利用者本位の施設となった。

という点があげられます。
次回は、現地リポートと、施設スタッフへのインタビューを行う予定です。お楽しみに!(下山)

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【報告】地域文化活動先進事例視察 01

平成17年度 文化ボランティア推進モデル事業
地域文化活動先進事例視察

報告者:山本佳美(特定非営利活動法人コミュニティアート・ふなばし)

概要
コミュニティアート・地域文化活動の先進地において、地域コミュニティにおけるアート拠点の先進的な取り組みを視察する。
金沢(金沢21世紀美術館および近隣地域商店街)、奈良(たんぽぽの家アートセンターHANA)、近江八幡(ボーダレス・アートギャラリーNO-MA)の3つの地域コミュニティにおけるアート拠点の地域文化活動の取り組みについて、必要に応じてインタビューを行い、それぞれの特徴と共通点を探る。視察内容は、連続講座の内容に反映させ、より具体的・正確なコミュニティアート情報を提供する。また、視察の詳細は、ブログにおいて報告し、情報の共有をはかる。

視察日程
2005年8月15日(月) 金沢:金沢21世紀美術館、竪町商店街、新竪町商店街
2005年8月16日(火) 奈良:たんぽぽの家アートセンターHANA
2005年8月17日(水) 近江八幡:ボーダレス・アートギャラリーNO-MA

総論
今回の視察は、ユニークなアート拠点として全国でも注目されている3つの拠点を選定し、その周辺地域も合わせて視察を行った。公設公営の現代美術の美術館である「金沢21世紀美術館」、障害のある人が様々なアート活動を行っている「たんぽぽの家アートセンターHANA」、古い町屋を改造し、障害の有無を超えたアート作品を紹介する「ボーダレスアート・ギャラリーNO-MA」。
共通しているのは、拠点を中心にして、地域資源が結びつき、その地域コミュニティにおいて新しい価値観や文化が生み出されているということである。そして、そこに関わる人々に新たな視点が生まれている。特に、たんぽぽの家アートセンターHANAとボーダレスアート・ギャラリーNO-MAの取り組みは、「障害者は福祉サービスの受益者」とだけ考えられがちであった福祉分野において、障害者が「アーティスト」として認識されるようになり、アートと福祉の両方に新たな考え方を持ち込むという相乗効果が見られる。
これらの新しい動きは、文化創造環境や地域に対するアートの有益性を示すものである。また、こういったアート拠点は、アートと社会のつなぎ手を育成する場となっているといえる。

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【報告】地域文化活動先進事例視察 02

金沢:金沢21世紀美術館、竪町商店街、新竪町商店街

1.金沢21世紀美術館
金沢市の中心部にある金沢21世紀美術館は、広い芝生の中に立つ、円形の水平な建物が印象的。「まちに開かれた公園のような美術館」として「だれもがいつでも立ち寄ることができ、様々な出会いや体験が可能となる公園のような美術館を目指している。」と案内に書かれている通り、建物にはガラスのアートサークルが採用され、入口が何箇所もあり、開放感がある建物である。館内には、ショップ、レストラン、アートライブラリーなどがあり、目的に応じて気軽に利用できるという、様々な人のニーズに対応した美術館といえる。

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視察した日は、アメリカを代表する若手現代作家の一人、マシュー・バーニーの日本での初個展となる「拘束のドローイング展」が開催されており、日本をテーマにした新作映画「拘束のドローイング9」の世界に先駆けてのプレミアム発表が行われていた。そのこともあってか、大雨にも関わらず、朝10時にはたくさんの来場者でにぎわっていた。特に10代、20代と見られる若い人と小さいお子さんを連れた家族連れが多く見られた。

■まちに溶け込む美術館
先に述べた建物の特徴も興味深いが、金沢21世紀美術館の運営には、徹底して美術館とまちとの「共生」という意識が貫かれているように感じられる。金沢21世紀美術館の目指すものとしては、下記のものがあげられている。

〇世界の「現在(いま)」とともに生きる美術館
〇まちに活き、市民とつくる、参画交流型の美術館
〇地域の伝統を未来につなげ、世界に開く美術館
〇子どもたちとともに、成長する美術館

「市民参加型の美術館」や「子どもが楽しめる美術館」という言葉は耳にするが、実際にそれらが上手く機能している美術館はまだまだ少ないのが現状ではないだろうか。金沢21世紀美術館は、それらを実践している美術館として特筆すべきことがいくつかある。

【1】友の会zawart
「かなざわ+ざわざわ(賑わい)+アート=zawart」と名づけられている会員制度で、会員証は発行月から1年間有効。パスポート会員と通常会員の2種類あるが、児童・生徒のパスポート会員は児童・生徒(小・中・高校生)2000円、学生3000円、一般5000円、ペア8000円となっている。
優待内容として美術館主催企画展やコレクション展が無料で楽しめ、コンサート等の割引、会報誌の無料送付、カフェの飲食割引などがある。また、興味深いのは会員向けスペシャルプログラムに参加できることである。そして、希望した人には館内で実施しているサポート活動にも参加できるようになっている(サポート活動の一つが下記の展覧会ガイドボランティア)。
  
【2】展覧会ガイドボランティア
私が視察に行った際、展覧会の会場にはそれぞれの展示ブースに案内役の方がいて、その方たちの中にボランティアで関わっているという方がいらした。
実際にお話をうかがった方は、近所にお住まいの主婦の方で、金沢21世紀美術館ができ、初めてボランティアをしたという。「美術館に金沢市以外の人が来たときには展示のことだけでなく金沢のことなどもお話し、自分のまちを魅力的なところだと紹介できるのが嬉しい。」とおっしゃっていた。
市民にとって、自分の住んでいる場所に他からたくさんの方が訪れ、興味をもってくれているのがわかることは、とても貴重な体験で、まちに対する愛着も増しているようである。
この展覧会ガイドボランティアは、金沢市のボランティア大学において、1年間のきっちりした研修を行い、無償で展覧会のガイドを行うというものである。ただし、活動に応じてポイントが発行され、そのポイントで図書券や展覧会招待券と交換できる仕組みになっている。市民からアートに関わる人が生まれ、その人がアートと社会のつなぎ手になっていく体制がきちんと作られていると言える。

【3】キッズスタジオ
親子や子ども同士が気軽に遊べる空間で、子どもが主体となった作品制作や芸術体験のワークショップも行われている。夏休み企画としては、D-projectが行う、学校連画:絵のリレー、サマーワークショップ「まるびいから生まれる絵」が行われるとのことだった。
これは、コレクション展示を観賞し、インターネット上の「学校連画:絵のリレー」サイトを利用して、コンピューターで絵を描き、友達の絵から自分の絵が生まれるというもので、絵を通して友達とつながっていく面白さ、広がりを体験できるとのことだった。
このキッズスタジオはガラス張りで、それまでに行ったワークショップの作品も展示されていた。子どもにとってはアートに接する刺激的なスペースとなっているようだ。
  
【4】託児室
きちんとした託児室を設けている美術館は全国的にも珍しいが、金沢21世紀美術館では、開館時間に合わせて託児室で保育ルームを開いている。
運営は市民グループの「子育て生活応援団」が行っている。ここで注目すべきなのは、この保育ルームは、美術館利用者の保育の予約が無ければ、美術館利用者以外も使えるということである。
市内での用事を済ませるときに気軽に利用できるようになっている。地域資源を活かすという点で、まちとの共存が進んでいるといえる。

2.竪町商店街と新竪町商店街
 金沢21世紀美術館から歩いて金沢市の中心街へ。竪町商店街にある竪町ストリートは金沢の流行発信地とされている。
古い商店と新しい商店が混在し、とてもにぎやか。
広い通りには10代、20代の若者がたくさん買い物を楽しんでいた。
「若者のまち」という印象である。
そして、竪町ストリートを抜けたところに新竪町商店街がある。
そこは一歩横道に入ると昔ながらの民家があるような場所で、古い建物を改良した個性的な店構えをしている店が多いのが特徴的だった。
通り全体が「新しい人々が入り込んで商店街を変えている。」という雰囲気が感じられた。
その中のbenlly’s&jobというカメラやアンティーク商品を扱うお店に入ると、店長の田中義英さん(30代)からお話をうかがうことができた。

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■まちの魅力を商店主が発信
田中さんが小さい頃から通っていた文房具店の店主が歳をとり、田中さんにお店を任せてもいい、と言ったことがきっかけで田中さんは今の店benlly’s&jobを始めたという。
そして、新竪町商店街が、古いものと新しいものが上手く共存している点についてうかがうと、「新竪町商店街は法人ではなく、寄り合い的で、店主同士がコミュニケーションをとりながら、古いものと新しいものを活かしていこうとしているから上手くいっているのかもしれない。」とおっしゃっていた。その自由度が良く、商店街として今後も法人化は考えていないとのことだった。
そして、一冊のガイドブック『そらあるき』創刊号を紹介していただいた。金沢にあるお店の店主のコラムがメインで、その他に散歩のガイド、地図、お店の紹介、お土産特集などがA5版で24ページに収められている。
田中さんは最後のページに「始まりは、小さな思いつきでした。
お店を訪れる県外のお客さんから、『今晩何処で食事すればいい?』『古本屋さん教えて』『お土産は??』。
そんな質問の答えに、気の利いたお店の紹介と、もうちょっと金沢を知ってもらうためのささやかなコラムが入った地図があったら…。
そんな思いつきを知り合いに語ったら、あれよあれよと、金沢で個性的なお店を持つ店主の方々が次々集まって、そうして『そらあるき』は始まりました。
初めてちゃんと話をする人たちと照れながらの会合から半年、ようやく形になったこの冊子は、今後どのように変わって行くのか判らないけれども、これからもスポンサーも広告も無く、少しでも自由な形で僕ら目線の金沢を紹介していけたらいいなと。
そして、旅行者だけでなく、金沢に住む人達にも自分の街を改めて好きになるきっかけになれば幸いです。」と書いている。
こうした商店街という枠組みを越えた商店主のゆるやかなネットワークは、全国的に見ても新しい動きではないだろうか。
『そらあるき』は金沢の商店主による一つのアート作品である。金沢に住み、日々暮らしている人の視点でまちの魅力が伝えられており、そのまちをより深く知ることができる。

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【報告】地域文化活動先進事例視察 03

たんぽぽの家アートセンターHANA

近鉄奈良線「学園前」で下車し、車で約25分ほどしたところにたんぽぽの家アートセンターHANAがある。
ここは、財団法人たんぽぽの家が運営しているが、同じ敷地内に社会福祉法人わたぼうしの会がある。
わたぼうしの会では、社会就労センターたんぽぽの家、たんぽぽ生活支援センター、身体障害者福祉ホームコットンハウス、デイサービスぶるーむ、たんぽぽ楽食サービス等、障害者の生活支援の拠点となっている。

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