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2012.10.10

そして、「彼女」は現れた。

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歌舞伎町のプロジェクトの重要な場面で、「彼女」は現れる。
彼女のことを私は、小町・・・そう、「歌舞伎町小町」と呼んでいる。
2012年8月25日、ホテル白川郷の「おしるこカフェ」に、彼女は現れた。
相馬高校の渡部先生による、相馬の高校生、その家族、市民の皆さんについての生々しいリポートを聴いていた「彼女」は、支配人さんお手製のおしるこを美味しいと喜び、お代わりをし、おもむろに口を開いた。

「私は、長崎で、あの“光”をみました」

「彼女」は、女学生の頃長崎に落とされたあの爆弾の“光”を見たと言う。
「彼女」は、80代。
スクリーンには、相馬高校の女子生徒たちが、原発事故の不安を綴った演劇のドキュメンタリーが映されている。
原爆が投下された1945年、まさに女子生徒だった80代の彼女が、その様子を見ている。
2012年の女子生徒と、1945年の女子生徒の生が、交錯する。
原発20km圏にまつわる話題が出た時、「彼女」は自らも長崎の原爆投下の地から20km圏内にいたということで、関心を寄せていた。
仙台在住のアーティスト・門脇篤さんと渡部先生と「彼女」が、「Nagasaki Archive」 の画面を覗き込む姿は、時空を超えた邂逅のようで、私には何故か「見てはいけないもの」「恐ろしいもの」のように見えた。
正視することが出来なかった。
「帰らなくちゃ」。
やがて彼女が言った。
私たち全員は、「彼女」がこの場に現れてくれたこと、彼女と話が出来たことを、心から感謝していたし、そのことを丁寧に彼女に伝えた。
午後の歌舞伎町の道を新宿駅に向かって帰っていく「彼女」。
その姿が見えなくなるまで、私は見送っていた。
夢幻のようなひと時だった。
ホテル白川郷の支配人・小坂さんは、「神様のような方だったね」と仰った。
それは、私たち全員の実感でもあった。
歌舞伎町小町は、私たちを、常に見守っていて、導いてくれる。


歌舞伎町小町に出会った

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