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2010.09.30

岩見沢アートプロジェクト「ZAWORLD」

横浜下町パラダイスまつり、白石島文化祭の報告もしないと・・・
なのですが、まずは岩見沢を。

報告が遅れましたが、岩見沢アートプロジェクト「ZAWORLD」に伺ってきました。
http://www.artholiday.org/
岩見沢最大のお祭り「百餅祭り」に合わせて、2泊3日。
昨年に続いて、2回目の訪問なので、今回は、岩見沢市立図書館に立ち寄り、司書さんご推薦の「岩見澤市史」をがっつり読み込んで臨みました!

9月18日(土)は、僕の講座「よくわかる!コミュニティアート」。参加者の皆さまとのグループワークを交え、ほのぼのとした一時となりました。
会場のIWAMIZAWA90°のランチは、主宰の遠藤さんのお母様が手がけていらっしゃって、加藤種男さんをして「すごい」と言わしめた凝った盛りつけ。
百餅祭りは、門脇篤さんの「えんにちファクトリィ」、××ラビリンスによる「恋のおチョメ神社」が参加。
9月19日(日)は、空知地域の炭鉱に関する資料を集めている「そらち炭鉱の記憶マネジメントセンター」
http://mc.soratan.com/
で、大木裕之さんが岩見沢を舞台に撮影した作品「コイ」を中心とした上映会が開かれました。

「ZAWORLD」は、昨年百餅祭りに参加して以来、まちの皆さんからの認知がグッとアップし、今ではまちで遠藤さんを知らない人はいないくらいだそうです。

岩見沢は、北海道における炭鉱の先駆けである空知炭鉱地区の中心のまちとして、炭鉱+国鉄で栄えた要所です。
今回は、「そらち炭鉱の記憶マネジメントセンター」を運営する、NPO法人炭鉱の記憶推進機構との協働により、さらにプロジェクトが深化したようです。
空知地区の炭鉱は、平成になっても採炭していた炭鉱もあるため、「そらち炭鉱の記憶マネジメントセンター」には、当時炭鉱や国鉄に勤めていらっしゃった方もふらっといらっしゃいます。

地域のアート拠点としてのIWAMIZAWA90°は、まちの「お食事処」としても繁盛し、イベントである「ZAWORLD」が百餅祭りを契機として一段と地域に浸透し、さらには「そらち炭鉱の記憶マネジメントセンター」との良好なコラボレーションが進み、炭鉱が閉山ししばしの静寂が続いていた岩見沢が変わりつつあるのをひしひしと感じる3日間でした。

遠藤さん、アーティストの皆さん、お疲れ様でした!

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2010.09.05

深澤孝史展覧会「うんこふみふみたかふみ文化センター」

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深澤孝史展覧会「うんこふみふみたかふみ文化センター」

深澤孝史展覧会「うんこふみふみたかふみ文化センター」は、野蛮さの中に、繊細な視点/精密なコントロール/おおらかな楽しさが光る、重層的な展覧会でした。

浜松市街から車で10分ばかり離れたところにある、たけし文化センターARSNOVAは、NPO法人クリエイティブサポートレッツが運営する障害福祉施設内に混在する3階立てのアートセンターです。
けっこう広いので、まずびっくり。
※ちなみに、「障害」という表記は正確に言えば正しいものではなく、ネガティブなイメージがあるので用いないという主張もありますが、この記事内では、会場内の表記に従います。

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訪問すると、展覧会のガイドとなるファイルを渡され、ビルの1階から2階・3階を見て回ることになります。
2階を覗くと、深澤さんが静かに作業をされていて、「らくらくおきらくびじゅつかんロボ」、階段踊り場には「ライトニングギガ工房」等の展示があります。
廊下にあるお弁当の展示は、障害を持つ子どもが描いた絵をお母さんがじっさいのお弁当としてつくる企画。これが、どのお弁当も高い技術力を見せ付けるもので、お母さん方のイマジネーションと技に感服させられます。

タイトルこそ「深澤孝史展覧会」となっていますが、この展覧会は、深澤さんがたけし文化センターARSNOVAにスタッフとして関わっていた期間も含め2年間のおつきあいの中でご縁があった障害児とそしてその周辺にいる人々との共同作業ほかを集めた「文化センター形式の展覧会」です。

「らくらくおきらくびじゅつかんロボ」
:ロボット型の“美術館”の内部に、多数の作品が展示されている。
色鉛筆の「緑色」を持っていってしまう人の対策に頭を悩ませたスタッフが、色鉛筆のケースを丸々一つ全部緑色だけにしてしまったエピソードを実物と一緒に飾ってある作品。
深澤さんと自閉症児のやりとりを構成したビデオアートは、画面を覆った土を掻き分けて観るようになっている。
仮面ライダーWをモチーフにした絵のシリーズ。
障害を持つ子どものライフスタイルをそのまま手づかみで手渡すような、緻密にコントロールされた展示に唸らされる。

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3階に移ると、ちょうどデイサービスが終わる間際で、障害児たちの大暴れ&大騒ぎの渦中に放り込まれ、タジタジとなりました。
僕もいろいろな場面で障害児との付き合いがあるので、彼/彼女らに「ダメ」という言葉を安直に使わないように心がけているのですが、ある小柄な女の子に買ったばかりの浜松土産を両手でガッシと掴まれて、脅威のあまり思わず「ダメ・・・」と言ってしまい、いきなり敗北感でいっぱいになりました。
そう、障害児をのびのびと生活させるこの空間では、いわゆる健常者が彼/彼女らのあふれ出るパワーに飲み込まれそうになる脅威が日常を満たしているようです。
若い施設スタッフの方々と、障害児のやりとりは、ほとんどプロレスを見る思いでした。バイオレンス!

そのバイオレンス!な3階の部屋の壁面に展示されている「さしえほん」は、深澤さんのアーティストとしてのスタンスをわかりやすく伝える作品でした。

「さしえほん」
障害児が描いた絵を集めた「えほん」を壁から吊るして展示。
えほんの中にときどき深澤さんが描いたページが挿入されていたり、深澤さんが製作したえほんがいっしょに展示されていたり。

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会場にいらした深澤さんに、作品についていらいろとお話を伺えました。
現在あちこちで行われている「アートプロジェクト」では、アーティストが招聘され、作品を展示したり、1週間から数ヶ月アーティストが現地に滞在して作品を製作するというスタイルが多く見られます。
深澤孝史展覧会「うんこふみふみたかふみ文化センター」は、こうしたスタイルとは、まったく異なり、深澤さんは主催団体のスタッフとして2年間働き、会場の前身の「たけし文化センター」立ち上げスタッフでもあったということで、障害を持った利用者やその周囲の方々との関係は一時的なものではありません。
また、主催団体スタッフとして、2年間働いた経験より、「NPO法人クリエイティブサポートレッツ」の理念や現状への理解も、正確なものと言えます。

NPO法人クリエイティブサポートレッツは、障害児を持つ親御さんが立ち上げた、いわゆる当事者型のNPOです。
当事者型のNPOは、大きなプロジェクト推進力を持つことが特徴です。NPO法人クリエイティブサポートレッツは、設立から10年ということで、団体としても“青年期”と言えます。
会場である「たけし文化センターARSNOVA」は、今年4月にオープンしたばかりの新しいスペース。
このような条件は、アーティストが新しい試みに専念するのには、ある意味で最高の環境といえると見えました。
子どものように体温高めの空間で行われる、柔らかな展覧会。

3階のデイサービスの会場は、「バイオレンス!」と評しましたが、じっさいに作品を子どもたちに壊されてしまったり、それをスタッフにうっかりゴミ箱に捨てられてしまったりすることもあり、深夜復元する深澤さんは、非常に落ち込むこともままあるとのお話です。

障害児とそれぞれ異なるコミュニケーションを模索し、時に嫌われ/蹴られ、周囲の大人からは叱られたりしている草食系男子のような在り様と、その営為を生々しく作品として展示する精緻な職人としてのアーティスト性がきらきらと輝く、薄暗くたまに身の危険を感じる楽しい展覧会でした。

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深澤孝史展覧会
「うんこふみふみたかふみ文化センター」

日時:2010年7月31日(土)-9月11日(土)
    11:00-18:00 日曜休館

会場:たけし文化センターARSNOVA
    静岡県浜松市西区入野町8923-4
   http://takebun.exblog.jp/

主催:NPO法人クリエイティブサポートレッツ、たけし文化センター
共催:アルス・ノヴァ
助成:フィリップモリスジャパン株式会社
   アサヒビール株式会社
特別協賛:財団法人アサヒビール文化芸術財団

 

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