「中流社会を捨てた国」~格差先進国イギリスの教訓
「中流社会を捨てた国」~格差先進国イギリスの教訓
著:ポリー・トインビー デイヴィッド・ウォーカー
訳:青島淑子
東洋経済新報社
序章 裕福な親の子は、やはり裕福になる
第1部 先頭を走る人々-富裕層の実態(高額所得者の自己認識、法外な役員報酬のからくり、古き良き中流階級のため息)
第2部 最後尾を行く人々-貧困層の実態(あるシングル・マザーの日常、相続されていく貧困、高等教育への遠い道程)
第3部 ここに税金を使いたい(「シュア・スタート」-未就学児の子育てを支援する、ニューアル・グリーン小学校-教育困難校を立て直す、どこまでも面倒見ます-イギリス版ハローワークの実験、明日の人材」-就職支援の新しい試み)
第4部 税こそ、この国のかたち(慈善事業の限界-気まぐれな善意は役に立たない、税からの遁走-租税回避を許すな、今、おこなうべきこと-一八の提言)
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「英国と日本のコミュニティアート。違いは“社会的排除”の視点の有無だ」と、ある人が指摘されていました。
今後、日本でも問題として浮上してくる社会的排除。
社会的排除を克服するための英国の先進施策が分かりやすくまとめてある、良書です。
第1部は、英国の富裕層がいかに貧困層と隔絶された生活認識を持っているか、というあたりで、正直そんなに面白くありません。
この本の優れたところは、英国における貧困層への支援政策の紹介です。
「一人親のためのニューディール」「シュア・スタート」「エイム・ハイヤー・プログラム」「エヴリ・チャイルド・ア・リーダー」「雇用・維持・向上プログラム」(ERA)
といったプログラムの、いずれも興味深いです。
特に興味を引かれた点が2つあります。
一つは、英国が幼少期の子どもへの支援を重視している点。
子どもがどんな学校教育を受け、どんな社会階層に属することになるか、そしてどんな人生を歩むかは、幼少期の言語教育(どんな言葉を使い、どんな言葉で話しかけられていたか)と密接な関係がある。
良質の幼児教育は、子どもの貧困率の低さと社会的相続(その家庭の文化度などが世代を越えて引き継がれていくこと)の影響を減らすことができる。といった紹介です。
未就学児とその母親を支援する「シュア・スタート」のようなプログラムが、日本でも必要と思われます。
二つ目は、「雇用・維持・向上プログラム」(ERA)という、失業者や低賃金の単純労働に従事している人に金銭面や精神面を含めて各人に応じた就職アドバイスのプログラム。
担当アドバイザーが、対象者が専門職に就けるための職業訓練をあっせんし、就職面接に行く際の服装などの細かい部分までケアし、マンツーマンの関係で友人のように心理的バックアップまでを含めたサポートを行うというものです。
これが、目覚ましい効果をあげているというものです。
支援者が、マンツーマンで、人格的な面まで含めたサポートを行う。
一見、非常に効率が悪く見えます。労力もかかるように見えます。しかし、人材育成で、効果を上げるには、このアプローチが最短距離となるという事実に、日本のNPOや非営利セクターにおける人材育成環境と、重なる部分を見いだすことができました。
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